逆流性食道炎について解説します

逆流性食道炎は日常生活に大きく影響を及ぼすことがある病気です。夜ぐっすり眠れない、食べたいものが食べられない、気分が冴えないなど生活に支障をきたす場合が殆どです。こちらでは逆流性食道炎の原因や対処法を紹介します。

PICK UP

たくさん食べ過ぎたわけでもないのに、ムカムカと胸やけがしたり、酸っぱいものが上がってくる症状(呑酸)があれば、それは逆流性食道炎かもしれません。
逆流性食道炎は、胃に蓋をして胃酸が漏れないようにする役割を果たす弁が、何らかの原因で緩くなってしまうことで胃酸の逆流が起こり、食道に炎症が起こってしまう病気です。

昔は中高年に多い病気でしたが、今は若い人にも増え続けています。
この病気は、放置すると食道がんになってしまうこともあるので、早めの対処が必要となってきます。
胸やけや、呑酸(酸っぱいものが上がってくる症状)が続いたら、どうすればいいのでしょうか。
逆流性食道炎の原因と、症状、治療法についてお伝えしていきます

逆流性食道炎とは

苦しそうな胃のイメージ

逆流性食道炎は、本来胃に留まっておくべき胃酸や、十二指腸液、または消化される前の食べ物が逆流する病気です。
頻繁に胸やけがしたり、ゲップが連続したり、酸っぱいものや苦いものがこみ上げる呑酸が起こったりします。
胃酸はとても強い酸ですから、逆流することによって食道を荒らしてしまうことになります。
なんの治療もなく放置してしまうと、食道が強い刺激を受け続けることで、食道狭窄、食道がんなど様々な合併症を引き起こしてしまいます。
呑酸、胸やけはとても不快なものですが、一時的にも起こり得るため、病気だと気付くことができずに悪化してしまうケースもあります。
逆流性食道炎は、暴飲暴食が主な原因と言われていますが、ストレスによっても引き起こされることがわかっています。
一昔前は中高年や高齢の人に多く見られる病気でしたが、今は脂っこい食事を好む若い人にも増加しています。
逆流性食道炎の症状を放置すると、バレット食道という病気に進行してしまうことがあります。
バレット食道は、胃酸が食道にかかり続けることで食道の粘膜がまるで胃の粘膜のような円柱上皮に変わってしまう病気で、さらに放置すると食道がんになってしまいます。

逆流性食道炎では?と感じたらすぐ医療機関へ

逆流性食道炎は合併症も引き起こすことから、胸やけ、呑酸などの逆流性食道炎の症状が続く場合は、すぐに診察を受けることが重要です。
また、逆流性食道炎は、一度完治したように見えても再び症状が現れることがあります。
それは、薬で治せるという安心感から、食生活を改善しない、不規則な生活をするといった不摂生によるものや、肥満体質で常に胃が圧迫されていることも原因のひとつとなります。
胃以外の臓器に疾患があり、それが影響して逆流性食道炎を発症することもあります。
何度も繰り返すと、そのたびに食道に強い刺激が加わることになります。
一度症状が治まったように見えてもまだ炎症が治りきっていないこともあり、胃酸の逆流を繰り返すことで、さらに強い呑酸、胸やけ、吐き気といった症状が悪化してしまいます。
一度発症して治療し、症状が治まったら、二度と繰り返さないための工夫が必要となります。

逆流性食道炎になりやすい食べ物

逆流性食道炎になりやすい食事は、脂っこいもの、香辛料など辛いもの、アルコール、カフェイン、炭酸飲料、酸性の強いもの、冷たいものなどです。
つまり、消化に悪いもの、または刺激の強いものということになります。
これらの食事は、逆流性食道炎を発症していなくても、呑酸や胸やけといった症状を引き起こすことがあります。
逆に逆流性食道炎を防ぐ食事は、おかゆ、おじや、白米、パン、うどん、豆腐、納豆、バナナなど、消化が良く、胃腸に負担がかかりにくいものということになります。
食生活に気をつけ、規則正しい生活をしているにも関わらず再発してしまう場合は、他の臓器に疾患がないか検査をしてください。
食道炎というと逆流性食道炎が最も一般的ですが、他にも感染症が原因で起こる感染症食道炎、薬が食道に引っかかって留まることで起こる薬剤性食道炎、がん治療のための放射線が食道に当たって起こる放射線食道炎などがあります。

逆流性食道炎の症状

説明する医師

逆流性食道炎になると現れる症状は次の通りです。

呑酸
呑酸とは、喉の奥から口にかけて、酸っぱいものや苦いものが上がってくることです。
これは、胃酸や胆汁酸、膵液などが逆流するためです。
胃酸は強い臭いを伴うため、口臭がきつくなることもあります。
口の中が不味くて眠れない、口臭が気になって人と話せないなど、社会生活に支障をきたすことがあります。
一度限りではなく、何日も呑酸が続く場合は、受診、検査が必要です。
胸やけ
呑酸により、食道が刺激を受けるために胸やけを感じるようになります。
頻繁にゲップが出たり、喉の奥がつかえているような感じがします。
胸がムカムカし、息苦しさに似た症状を感じます。
胸やけにともない、痛みを感じることもあります。
消化前の食べ物が逆流する
食べた物が、一口分ほど胃から上がってきて口へ逆流します。
呑酸をともなう場合もあり、その味は不味くとても不快なもので、不眠の原因にもなります。
みぞおちの痛み
痛みをまったく伴わない人もいますが、中にはみぞおちがキリキリと痛んだり、重く感じる人もいます。
悪心・嘔吐
呑酸がひどくなると、その不快感から嘔吐してしまうこともあります。
声枯れ
呑酸によって食道が荒れてしまうため、喉がイガイガしたり、声が枯れることがあります。
食べ物が飲み込みにくい
食道の炎症が続いてしまうと、食べたものを飲み込みにくくなる、いわゆる狭窄が起こります。
炎症により、食道の壁に凸凹ができてしまうためです。
膨満感
常に満腹な感覚があり、食事がとりにくくなることがあります。
空腹なはずなのに、少し食べただけでゲップが出始め、残りが入らなくなってしまいます。
吐血
呑酸を放置してしまうことで食道の炎症が進んでしまい、吐血してしまうことがあります。
食道は本来粘膜で守られていますが、胃酸の逆流により粘膜が破壊され、血管にまで炎症が広がっているということになります。
吐血が見られたら、かなり症状が進んでいるということになります。
空咳
胃酸の逆流が喉を刺激することにより、咳が出ることがあります。
また、喘息の持病を持っている人は、悪化してしまうことがあります。

症状だけで自己判断しないこと

これらの症状が当てはまるからと言って、自己判断で逆流性食道炎と思い込んでしまうことは危険です。
逆流性食道炎に似た病気もあるからです。
喉のつかえや息苦しいような感覚は、狭心症や心筋梗塞、食道がんにも当てはまります。
胸やけ、ゲップ、吐き気は胃がんや胃潰瘍も考えられます。
その他、慢性膵炎、十二指腸潰瘍とも症状が似ていることがあります。

また、これらの症状がすべて揃っていなくても、逆流性食道炎にかかっていることもあります。
胸やけや呑酸だけの症状ではなかなか病院に行く気にはならないかもしれませんが、一時的にではなく何日も続くようなら、早めに受診するようにしましょう。
診断が遅れれば遅れるほど、適切な治療を受ける前に悪化してしまいます。
炎症が深く進んでしまったり、ましてやがん化してしまってからでは、治療が困難になることがあります。
忙しい日常の中で我慢してしまいがちですが、症状がひどくなる前に内科、または胃腸科を受診しましょう。

逆流性食道炎の原因

診察

逆流性食道炎の主な症状である呑酸は、胃液や十二指腸液が逆流することで起こります。
通常は胃に留まっている胃液がなぜ逆流するのかというと、胃と食道の間にあり、弁の役割を果たしている下部食道括約筋が緩んでしまうからです。
呑酸は横になると起こりやすくなるため、不眠の原因にもなります。
呑酸を放置しておくと、食道の炎症が進み、痛みや違和感がひどくなります。
同じく主な症状である胸やけは、食道の粘膜の炎症によって起こります。
胸やけが数日続いたとしても、食べすぎによる消化不良で一時的なものだろうと自己判断し、放置してしまいがちです。
しかし、何日も続く胸やけは逆流性食道炎の重要なサインのひとつです。
胸やけが起こる病気は他にも胃がん、胃潰瘍、食道がんなどがありますが、胃カメラによって原因が判明します。
症状が続いたら早めに受診することが大切です。

暴飲暴食に注意

逆流性食道炎の主な原因となるのは、暴飲暴食。
また、他の内臓の病気が原因となることもあります。
近年、若い人に逆流性食道炎が増えていることの原因としては、食生活の欧米化により、脂っこい食事が増えていることではないかと考えられています。
脂は消化に時間が掛かり、消化器官に大きな負担がかかります。
それにより、弁の役割を果たす下部食道括約筋が緩んだり、胃酸が増えたりすることで逆流性食道炎が起こりやすくなります。
加齢による下部食道括約筋の衰え、喫煙、飲酒などが原因となることもあります。
特に飲酒は胃酸の分泌を増やし、下部食道括約筋を緩ませる一因となります。

ストレスにも注意

また、稀に、姿勢の悪さや締めつけの強い衣服を着用していることで胃が圧迫され、逆流性食道炎を発症することもあります。
ストレスに関しては、胃の不調に直結していると考えられるほど関係性が深いと言われています。
強いストレスを感じると胃がキリキリ痛んだり、胸やけがしたり、吐き気を催すことからも明らかです。

改善には適度な運動とバランスのとれた食事が重要

逆流性食道炎を防ぐためには、脂っこい食事を減らし、バランスの良い食事を心がけ、ストレスを軽減することが必要です。
胃を労わるためによく噛み、唾液とよく混ぜ合わせることも大切です。
腹八分目を心がけ、寝る三時間前は何も食べないようにします。
睡眠時は胃腸も休むため、食べ物が入っていると無理やり消化しようとして負担がかかります。
揚げ物などを食べるときは昼食にとるようにし、夜は消化の良いメニューにすることも胃腸を労わることになり、胸やけなどの不快感を防ぐことができます。
日頃から運動をして代謝を上げておくことも予防になります。
適度な運動はストレス発散にもなります。
ただし、逆流性食道炎になってしまった後の運動には注意が必要です。
腹圧がかかる腹筋や背筋、柔軟体操は吐き気、胸やけなどの症状が悪化してしまうことがあるのでお勧めできません。
腹圧がかからない柔軟体操やストレッチ、ウォーキング、ジョギング、太極拳などがお勧めです。
無理がかからないようスローペースで取り組みましょう。

逆流性食道炎の治し方

呑酸、胸やけなどの症状が続き、逆流性食道炎かもしれないと思ったら、まずは病院へ行って検査を受けてください。
検査は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)によって行われますが、呑酸や胸やけがあるかどうか、ゲップが頻繁に出るかなどの問診で約60%~70%は診断できると言われています。

処方される薬

検査方法は、他にPPIテストや24時間pHモニタリング検査といったものがあります。
逆流性食道炎と診断されたら、薬物療法と食事指導を受けることになります。
薬は、胃酸の分泌を抑える作用のあるプロトンポンプ阻害薬(PPI)または、ヒスタミン受容体拮抗薬(H2ブロッカー)などが処方されます。

薬はすぐに効く人もいれば、なかなか効果が現れず、いつまで経っても呑酸や胸やけがなくならないという人もいます。
人によっては効かない場合もあるので、あまり改善しないようなら、セカンドオピニオンを受けるか、担当医に相談する必要があります。
8週間薬物療法を続けても呑酸や胸やけが治まる様子がない場合は、難治性逆流性食道炎と診断されることがあります。
難治性と聞くと恐怖に感じてしまうかもしれませんが、必ずしも完治しないということではありません。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用し、長期間かけてゆっくりと治していきます。
難治性逆流食道炎は、薬物療法とともに、生活改善が不可欠となります。
食生活の改善はもちろんのこと、十分な睡眠、ストレスの発散が必要となります。
難治性と診断されても諦めず、心をゆったりと構えて気長に治療に取り組むことが大切です。

手術が必要になる場合も

それでも症状が悪化していく場合や、重度な場合は手術を行うことがあります。
ニッセン法と言われる手術で、内視鏡を挿入して胃と食道の境目を縛り、胃酸の逆流を防ぎます。
全身麻酔をして開腹するので、一週間ほどの入院が必要になります。
また、開腹せずに口から内視鏡を挿入する方法もありますが、まだ行っている病院は多くありません。
手術は、胸やけ、呑酸、吐き気、吐血などの症状と炎症が非常に強く、薬が効かず、身体的苦痛が激しい場合に医師の判断で適用されます。

また、おおむね40歳以下の若年者や、狭窄のなどの合併症がある場合、肺炎など呼吸器症状がある場合にも適用されることがあります。

最終的には自己管理が必要

逆流性食道炎は、他の臓器の病気が原因となっている場合を除けば、自己管理で発症を防ぐことができる病気です。
また、呑酸、胸やけといった症状が出始めたら、早めに受診することで悪化を防ぐこともできます。
逆流性食道炎を完治させた人の手記には、生活改善が何よりの薬だったと書かれていることが多くいかに自己管理が大切かがわかります。
飲みすぎ、食べ過ぎ、食事内容に気をつけ、規則正しい生活を心がけ、ストレスも溜め込まないようにしましょう。
また、一度完治しても気を緩めることなく、再発を防ぐため自己管理を続けましょう