逆流性食道炎について解説します

逆流性食道炎は日常生活に大きく影響を及ぼすことがある病気です。夜ぐっすり眠れない、食べたいものが食べられない、気分が冴えないなど生活に支障をきたす場合が殆どです。こちらでは逆流性食道炎の原因や対処法を紹介します。

食道裂孔ヘルニアによる逆流性食道炎

逆流性食道炎の原因の一つに食道裂孔ヘルニアがあります。
食道裂孔ヘルニアは胃が本来あるべき場所から逸脱してしまう症状のことです。
体内にはいくつかの体腔があります、体腔とは体内にある空間のことでその空間に様々な器官が配置されています。
大きな体腔として胸腔と腹腔があります。
胸腔は横隔膜よりも上部に位置していて、肺や心臓などがあり肋骨によって守られています。
腹腔は横隔膜よりも下部に位置していて胃や腸、肝臓などの多くの消化器官があります。
食道は胸腔に位置していて、嚥下した食べ物や飲み物を腹腔にある胃に運ぶための器官です。
横隔膜を超える必要があり、食道が通っている部分の横隔膜には孔があります。
この孔のことを食道裂孔と呼びます。
食道裂孔は食道と胃の境目に位置していて胃の中のものが食道に逆流しないように抑える役目もあります。
食道裂孔は常に筋肉によってその形を支えて維持しているため食道や胃がその孔を超えてしまうことはありません。

しかし、腹部の圧力が異常に上昇することや加齢により筋力が衰えることで横隔膜による抑えが効かなくなり胃の一部が胸腔に出てしまうことがあります。
これが食道裂孔ヘルニアです。
食道裂孔ヘルニアは胃の出方によって3類型に分けられます。
食道と胃の境目が横隔膜よりも上に移動して胃が胸腔側に上がってしまうものを滑脱型といいます。
食道裂孔から胃の一部がバルーン状に出てしまうものとして傍食道型があります。
また、これらが併発して起こるものとして混合型も考えられます。
この中で発生頻度が高いのは滑脱型です。
食道裂孔ヘルニアになっても形状が異常なだけで痛みや違和感などを自覚することはありません。
それだけではとくに消化などの機能には影響しないため症状を感じません。
その状態が続いている間は問題はありません。
ただし、食道裂孔ヘルニアになると胃酸の逆流を防ぐ機能が適切に機能しないため逆流性食道炎になることが多くなります。

食道裂孔ヘルニアの治し方

食道裂孔ヘルニアになっているだけでは特に治療を必要としないことがほとんどです。
逆流性食道炎を併発するようになると悪化させないために治療が必要となります。
また逆流性食道炎になることを避けるために予防的に治療することもあります。
食道裂孔ヘルニアは形状が変化しているため外科的な手術による治療になります。
変形して胸腔に出ている胃の部分を腹腔側に戻します。
ただし、ただ戻すだけではなく食道と胃のつなぎ目である噴門の部分に胃を巻きつけて圧迫させることで逆流しないようにする処置も行います。
ニッセン法は胃底部を食道のまわり全周に巻きつけます。
トペー法やドール法は全周ではなく一部を残した状態で巻きつけます。
ヒル法は噴門部分を近くにある正中弓状靭帯に縫合して筋力をあげる方法になります。

食道の長さが十分でない場合にはコリス法と呼ばれる胃の形成術を行うこともあります。
筋力が低下して開大している食道裂孔を縫縮して逆流を防止する手術も効果的です。
これらの手術は開胸で行うため患者への負担が大きくなります。
最近ではニッセン法を腹腔鏡下で行うことで開口部を小さくして負担を小さくすることもできるようになりました。
食道裂孔ヘルニアの原因として腹圧が異常に高くなっていることも考えられます。
胃酸の逆流もしやすいことから逆流性食道炎になりやすい恐れもあります。
まずは腹圧を抑えることも治療の一つです。
腹圧が高くなる原因の一つに肥満があります。
生活習慣を改善して肥満を解消して腹圧が上がらないようにすることが重要です。
ただし、腹圧が下がってもヘルニアが改善されることはありません。
根本的な治療は外科的に行うしかありません。
腹圧を下げておくことで再発防止につながるため外科的な治療と併せて行う必要があります。